ド文系の『ジゴクのAI学習』【G検定・E資格】

なんとなくイメージで理解するAIの世界

【G検定】④ 第2章 人口知能をめぐる動向(2)知識表現 ・・・「世の高校生の『読解力』はコンピューター以下」

『読解力』とは・・・

自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力 by OECD経済協力開発機構

あなたは『東ロボくん(とうろぼくん)』をご存じでしょうか?

「ロボットは東大に入れるか?」を目標に、日本の国立情報学研究所プロジェクトリーダー:新井紀子教授)が中心となって、2011年から研究・開発が進められている人工知能の名称です。

この『東ロボくん』は2016年のセンター試験で偏差値57.8をたたき出しましたが、残念ながらこの時点で「読解力の限界」ということで東大入学を断念。このことを新井教授は「知識に比べ幼稚な知性」と表現しています。AIの課題が浮き彫りになったプロジェクトでした。

しかしこのプロジェクトで浮き彫りになったのは「え?世の高校生って東ロボ君以下の『読解力』しかないの?」という別の課題。こっちのほうが衝撃的だったようで、2016年新井教授は中高生の『読解力』向上を目的とした『リーディングスキルテスト』というプロジェクトを発足しています。AIの裏側を知るものとして「え?こんなんよりもヤバいの?」というのは「東ロボくんどころではない…」という危機感をもったのかもしれません・・・知らんけど。

 

東ロボくんに読解力は追いつかないかもしれませんが、我々は別の能力を持っているかもしれません・・・その能力発揮する、本項目のカンペノートはこちら。

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2-2.知識表現

①人口無能

ELIZA/イライザ効果(1966)ただただオウム返しするプログラムに、「知性を感じる」という効果。「何困ってる?」「それについてどう思う?」「例えば?」を繰り返されるだけで、人は「ELIZAなんでも相談乗ってくれる…素敵♡」になるそう。←「あほか!んなもん知性ちゃう。無能や。人口無能や!」byジョセフ・ワイゼンバウム

エキスパートシステム(知識ベースの構築)

・DENDRAL(1960)世界初のエキスパートシステム「未知の有機化合物を判定する方法」byエドワード・ファインバウム「知識工学」という言葉使った。

・MYCIN/マイシン(1970)緑膿菌判定(伝染病の血液疾患)にて、専門家でも正解率80%の判定を69%の精度で判定した。

エキスパートシステムの限界(知識獲得の限界)

知識獲得リソースは『資料・文献』『事例』『専門家のノウハウ』あったが、このうち『資料・文献』『事例』はデータベース化できたとしても『専門家のノウハウ』はインタビューで収集しなければならないコストの高さと、言ってることが矛盾しているがノウハウとしては合っていることも多い。また一般に『暗黙知』と言われるものは『常識的な知識』が備わっていないと理解できないことが多く、この『常識的な知識』をどうするねん?というところで「知識獲得の限界=エキスパートシステムの限界」となってしまった。

といっても『常識的な知識』をどうするねん?方法で④⑤の研究が進んだ。

④意味ネットワーク・・・言葉の「概念」と「概念間の関係」をネットワークで表現

・「is-a」の関係=継承関係(上位ー下位概念)例)生物ー人間ー太郎

・「part-of」の関係=属性関係(全体ー部分概念)例)車ータイヤーホイール

オントロジー・・・「知識の共有と活用」を目的に、「知識を体系化する方法論」

【言葉(語彙)】【その意味】【それらの関係性】→他人と共有できるための約束事(仕様) 例)#$isa #Bill Clinton #US President (米大統領ビル・クリントン

でも⑥が出てきてまた頓挫・・・

⑥推移律の問題・・・「part-of」の関係は少なくとも5つ以上あり「推移律が成立しない場合がある」※推移律:A=B、B=CならばA=Cでしょ?というルール。これが成り立たんと意味ネットワークに基づいてオントロジー組んでも意味がなくなる。。

これに対して人類がとった方法は⑦の二つ。。

オントロジーの構築

・ヘビーウエイトオントロジー(重量オントロジー)「推移律の問題?知るか!全関係性整理して、すべての一般常識をコンピュータに取り組んでやる!」=Cyc(サイク)プロジェクト(1990~現在)30年以上手作業にて。。恐ろしい超野心的活動。

・ライトウエイトオントロジー(軽量オントロジー)「いやいや、使えればいいですやん?!正当性とかちょっと無視しましょう。概念間の関係とか、多分こう?位ざっくりでOKでしょ!人間もそんなもんですやんw」=ウェブマイニング等。恐ろしく超手抜き。でも主流の考え方。

⑧事例

・ワトソン(2011)byIBM・・・「拡張知能AI」と呼んでる。クイズ番組「ジョパディー」で優勝。ライトウエイトオントロジー利用し、質問に含まれるキーワードと関連しそうな回答を高速検索。つまり「意味を理解しているわけではない」

・東ロボくん(2011)・・・東大入試合格目的。2016年偏差値57.8で「読解力限界」ということでプロジェクトいったん凍結。全国の高校生が愕然。

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この辺はほんとにAIの学習か?とすら思ってしまいますよね。。「知性とは何か?」「コミュニケーションのためには『一般常識』が必要だ」等々。。AIの研究ってそういうところとも繋がっているのが面白い。実際この後ライトオントロジーを主流として言語モデル・生成モデルが出来上がっていき、ChatGPTなどのテクノロジーができ上るワケですが、ではその自然会話可能なChatGPTは「意味が解っているのか?」「知性はあるのか?」「いや知性ってそもそも何?」という問題は未解決のままです。

しかしそもそも人間にも同じこと言えますよね?「意味を分かっていると本当に言えるのか?」「自分は知性というものがあるのか?」大半の人々の『読解力』がAIより低いと分かった今、AIの知性より人間の知性のほうが「怪しくないか?」という気がするんですが。

ちなみに東ロボくん、2016年にプロジェクト断念したわけではなく、その後も引き続き研究開発は続けられ、2019年には偏差値60を超えたそうで。。

こりゃいよいよ人の知性のほうが怪しいですね。磨いていきましょう!